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関西発会計検定 続々と企画

 企業の決算書の作成や財務内容の分析力などを問う関西発の「検定試験」が、相次いで企画されている。背景には、会計ルールの頻繁な変更や、情報開示の重要性が高まっていることに加え、本社や財務部門を東京に移す企業が増えて、財務に精通した人材が乏しくなってきたという関西特有の事情もあるようだ。(白櫨正一)

 関西の公認会計士や弁護士らでつくる「ディスクロージャー実務検定協会」(大阪市)は今年4月、大阪府から非営利組織(NPO)法人の認定を受けた。NPOの認定取得は、上場企業の有価証券報告書などを作成できる人材を育てるのが目的で、そのための検定試験を2008年春に実施する方向で準備している。

 会計に関する試験は、日本商工会議所が実施している簿記検定が知られるが、協会が行う検定は、貸借対照表など財務諸表を実際に作成するなど、より実践的な内容になるという。

 企業にとって、会計制度の変更、不正会計の多発などを背景に、経理、財務部門をいかに充実させられるかが大きな課題となっている。大阪証券取引所が昨年、上場企業を対象に開いた情報開示のセミナーには200~300社が集まり、関心の高さを示した。

 ただ、東京では、大手監査法人などが会計事務に関するセミナーを頻繁に開催するなど、経理担当者が能力を磨く場が比較的多いのに対し、関西ではそうした機会は少ないという。

 「会計処理にかかわる人員や時間などの負担が大きく、『上場を廃止した方が楽』との声も聞こえてくる」。同協会の理事で、公認会計士の上西克尚さんは、対応に追われる企業の悩みを説明する。

 同協会の理事長で、株式公開を目指す企業への助言業務などを手がける東洋ビジネスコンサルティング(大阪市)の入江修二社長は「企業の東京移転が進み、関西では経理の専門家を中途採用することも難しくなっている」と指摘する。

 検定試験の実施は、こうした関西の厳しい実情を踏まえた試みでもある。

 一方、企業の財務諸表の分析力を問う独自の「ビジネス会計検定試験」を企画したのは、大阪商工会議所だ。今年7月に3級、来年2月に2級と3級の試験を東京、大阪で行う。

 財務諸表などをもとに、経営実態や成長性を正しく評価できるかどうかを求めるのが特色だ。大商は「財務諸表を分析できる人材のすそ野を広げる必要性が高まっている」と狙いを説明する。

 大商が行う試験の検定委員長で、会計学が専門の関西学院大の平松一夫学長は「職場だけでなく、学生らを含めて取得を目指す人が増えてほしい」と、検定試験の浸透に期待をかけている。

(2007年5月31日  読売新聞)

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