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働きながら、目指せ会計士
監査と会計の専門家である公認会計士を増やそうと、試験制度や育成の仕組みが見直されている。
会計士は弁護士にも並ぶといわれる難関資格。株式投資熱の高まりもあって、企業の決算を点検する会計士の役割は増すばかりだが、日本では米国などと比べ数が少ないと指摘される。政府は2018年までに現在の3倍近い5万人に増やす考えで、受験しやすい制度づくりを進めている。
簡素化、科目合格制…新試験制度で
~監査法人
会議室でトーマツの社員と打ち合わせをする吉村隆史さん(右)(東京都千代田区のトーマツ八重洲オフィスで)=高橋はるか撮影 今年1月、大手監査法人のトーマツ(東京)に就職した吉村隆史さん(29)は、会計士試験の受験生だ。退社後は、ファミリーレストランに立ち寄るのが日課になっている。手早く夕食を済ませ、テキストを開いて勉強を始める。
吉村さんは東大工学部を卒業後5年間、予備校で数学を教えていた。予備校の運営にかかわるうち会計士の仕事に興味を持った。ファミレスで勉強する習慣はそのころから続く。
まだ合格していない吉村さんが監査法人で働きながら受験できるようになったのは、06年から公認会計士試験制度がかわったことが大きな理由だ。
これまで試験は3次試験まであった。2次に合格して会計士補になってから監査法人で実務を経験。その後、3次に合格して資格を得る仕組みだった。
新制度では試験は1次のみ。合格前に実務経験を積むことも認めた。試験はマークシート式の短答式4科目と論文式5科目をクリアすれば合格で、合格前後に一定の実務経験を経れば資格が得られる。また、受験で不合格となっても、一部の試験に合格すれば2年間は同じ試験が免除される制度も設けた。
新制度を受け、トーマツなどの監査法人は、一部の試験に合格した科目合格者を積極的に職員として受け入れている。吉村さんも科目合格者で、「経験を積んで早く一人前の会計士になりたい」と、実務を経験しながら受験する道を選んだ。今は上場企業の会計監査業務に加わっている。「目指す仕事にかかわりながら、経済的な不安なく試験にのぞめることが大きい。今年は絶対に合格したい」と張り切る。
トーマツは昨年末に502人の職員を採用したが、このうち4割以上の220人は科目合格者だった。
吉田美佳さん(33)もトーマツで働く科目合格者の一人だ。通勤時間を有効活用するため、満員電車の中で立ちながら勉強に打ち込む。
昼間は監査チームの一員として企業に出向き、決算書類などを点検する。吉田さんは「受験が中途半端になる心配もあったが、残業が免除されているので助かっている」と話す。
トーマツで採用を担当する代表社員、川上豊さんは「試験の合否は運が左右することもある。科目合格者にも優秀な人材はいる。会計士が足りないので早く戦力になってほしい」と期待する。
~専門職大学院
早大大学院・会計研究科の授業(東京都新宿区の早大で) 一方、大学では、プロの会計士を育てるための会計専門職大学院を設ける動きが広がっている。弁護士を目指す法科大学院と似た仕組みだ。政府が設置を後押ししており、分野ごとに決められた単位数を得て修了すれば、会計士試験で短答式の4科目中3科目が免除される優遇措置もある。05年度に設置が本格化し、北海道大や青山学院大など9校に設けられた。今年4月までに設置校は計16校になった。
早稲田大は05年4月、大学院に会計研究科を新設。今春に初の卒業生110人を送り出した。現在は220人が在籍する。
試験対策に力を入れており、受験科目の模擬試験を定期的に行う。合格したばかりの公認会計士が試験の解答例などを解説する講義もある。教務主任の清水孝教授は「在学中の合格を目指しているが、企業など社会の期待に応えられるプロ育成に向け、実務教育を重視している」と説明する。
5月27日から始まる07年の公認会計士試験には、昨年より実質的に1割以上多い1万8220人が志願する。制度見直しも手伝ってか、会計士を目指す人材のすそ野は広がりつつある。
一方、粉飾決算など不正会計に会計士が関与する例も後を絶たない。数を増やすだけでなく、今後は、会計士としての倫理感を高めていく育成法なども課題となりそうだ。
<メモ>公認会計士試験制度
以前は1~3次の計5回の試験があったが、2006年から1次のみの2回に簡素化された。5~6月に短答式4科目、8月ごろに論文式5科目の試験がある。短答式4科目をクリアすると、最終的に不合格でも翌年から2年間は短答式が免除される。論文式も一部で合格すると、その科目は2年間免除される。06年の試験は、過去の2次試験合格者などを除いたデータでみると、前年より6%多い1万6210人が受験したが、合格率は8・5%で前年と同じだった。また、科目合格者は1293人いた。
(2007年5月21日 読売新聞)
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